夏目漱石―漱石山房の日々
編集:石﨑等
1999年、神奈川近代文学館に夏目漱石ご遺族から遺品約250点が、2002年、当館に美土路脩一氏から『道草』原稿が寄贈されました。
これらいっそう充実した両館の資料によって、漱石が職業作家となった朝日新聞入社を区切りとした二部構成で企画しました。
『道草』はじめ代表作の原稿、鏡子夫人や、芥川龍之介、内田百閒など若い弟子たちに与えた、小説にも劣らぬ文学的価値をもつ手紙の数々、良寛を理想とし素人の域をはるかに超えた書、ユニークな南画風の絵画、書斎の雰囲気を彷彿とさせる遺品類など、約200点の資料で漱石の世界を堪能していただきます。
部門構成と主な出品資料
第1部 自伝小説『道草』―半生をふりかえる
・「道草」原稿
・塩原家との養子縁組、離縁にまつわる「離縁後の一札」「離縁証」
・「正岡子規へ送りたる句稿」には随所に子規の添削が
・一高での教え子宮寛へあてた手紙には「(当時の自分は)本当の私ぢゃない、ぢゃ嘘の私かといふとそうでもない」
・『吾輩は猫である』連載中の様子を伝える野村傳四宛の手紙 など
第2部 〈漱石山房〉の夏目漱石
・若年の友であり絵の師でもあった津田青楓による「漱石先生と其弟子たち」
・朝日新聞の渋川玄耳へ『三四郎』の概要を述べ、新聞の予告にしてほしいと頼む手紙
・芥川龍之介と久米正雄へ、牛のような根気が必要だと忠告した手紙
・『明暗』原稿 など