維持会へのご参加のお願い
謹啓 皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
さてこの度は、日本近代文学館の活動につきまして格別のご理解を賜りたく筆をとりました。
日本近代文学館は、日本初の近代文学総合資料館として、1963年文壇・文学研究者の総意のもとに設立され、昨2013年にお陰様で設立50周年を迎えました。
この間、1967年に目黒区駒場公園内に開館して以来、多数の文人、ご遺族、研究者、団体等から貴重な資料の寄贈、寄託を受け、資料総数は110万点を越えております(2014年3月現在、雑誌は正本のみの数)。
これらの資料の受入れ、整理、利用者への資料閲覧業務を活動の軸としながら、年2回の特別展の開催、他館への資料の貸出、館報や「日本近代文学館年誌」の刊行を通して、その使命を果たしております。また、講演会・朗読会・資料講座などを積極的に主催し、日本文化を支える活動に力を入れております。さらに、年々増加する資料に対応し、利用者の皆様がさらに利用しやすくなるように、資料のデータベース化を重点的にすすめております。
当館は、この50年の間、公的助成をほとんど受けることなく公益のために活動してまいりました。開館当時から当館の財政基盤のもっとも大きな支えとなってきたのが、維持会の皆様からの会費収入でございます。維持会は、毎年会費のかたちで資金援助をお願いし、会員の方にはできる限りの便宜をお計らいする制度で、現在個人会員700名、団体会員40団体の加入を得ており、これが維持運営の強力な支えとなっております。なお当館は2011年より公益財団法人に認定されておりますので、維持会費をはじめ当館へのご寄附は「公益社団法人等寄附金特別控除」として税の控除を受けることができます。
これまで様々な事業を展開し活動することができましたのも、ひとえに維持会の皆様のご援助、ご支援があってのことでございます。
幸いに開館当初より健全財政を維持できてまいりましたが、近年の厳しい経済事情では、予断を許さない状況です。さらに今後、建物の修繕や収蔵庫の改修に費用が必要になってまいります。もちろん私共といたしましても、経費をできるかぎりきりつめ、一方、さまざまな企画や催しにより収入の増加の努力を続けるつもりでおります。しかし、何と申しましても、運営の基礎になるのは、当館の趣旨にご賛同下さって維持会員としてご支援いただく皆様のお力添えでございます。
なにとぞ事情をご賢察くだされ、維持会へご参加くださいますようお願い申し上げます。
敬白
2014年5月
公益財団法人 日本近代文学館
理事長 坂上 弘
維持会員からのメッセージ
強力なる助っ人
北原 東代
作家で近代文学研究家の野溝七生子は、私の義母・北原菊子(白秋妻)の大分県立第一高等女学校での7年後輩かつ親友である。菊子は野溝を生涯「ナーチャン」と呼んでいた。菊子の生前、野溝は時折長電話をかけてきたが、菊子はもっぱら聞き役で、菊子の留守中には私が相手をつとめたことも何度かある。
忘れられないのは、1982年秋の電話で、それは作家A氏への激しい非難であった――当時、A氏がある雑誌に連載中の大杉栄の評伝に、辻潤と野溝との清い関わりを、男女関係があったかのごとく書いていたという。「Aは私の住むホテルに来て謝りましたがね、許せませんよ」と、その憤りは凄まじかった。
4年前、ふとしたことから私は野溝について調べていた。その全作品を読了後、野溝のA氏への怒りを思い、先述の雑誌の連載と後に刊行された上下2巻本との異同を較べたく、2巻本は古書店で求めた。そして野溝登場の章に該当する雑誌の箇所の複写依頼状を、文学館の、お名前のみ旧知のB氏宛に送った。逸脱風の依頼であり、断られるのも覚悟していたが、3日後、B氏から雑誌の該当箇所・連載3回分の複写が届いたのである。お蔭で、私は野溝の怒りがよく解った。すなわち、A氏は野溝を故人と思いこみ雑誌に書いた、と察知した。
その後、B氏は館を退職されたが、今でも私は、B氏に深く頭を下げている。
(著述家)
文学資料こそクールジャパン
ロバート キャンベル
日本列島が生みだした文化で、世界中で高く評価されるものに文学がある。文字を追って読まれ心に残る文学だから、和食や浮世絵などと違ってモノとしての存在価値は一般的にあまり認められていないし、電子書籍が普及する昨今、ますます実体のないバーチャルなコトとして考えられがちである。しかし日本文学に限っていえば、その考え方は間違っている。
日本人は近代、すなわち明治よりずっと前から文学のことを、内容(ストーリー、主張、時代精神)と形態(紙質、書型、装丁、印刷技法)という単純な分け方を好まず、どちらかと言えば手に取った一冊それ自体がまるごと「文学」であると見なす大らかで感覚的なメンタリティを持っている。明治以降も同様で、小説の初版本はもちろん、作家の自筆原稿や手紙、旧蔵書といった作家の物質的環境にまで読者は熱い関心を寄せていた。「日本文学」という独自で豊かな文化はそのようにして作られてきた。言い換えれば、文学とは物質的な遺産であり、財産だ。
日本近代文学館は、そのモノとしての財産である文学を、公的資金を当てにせず孤軍奮闘、半世紀も守り抜いてきた。世界への、とてつもなく大切な架け橋だ。維持会員になることでその橋を次の世代へ、ぜひ渡していきたいものである。
(日本文学者・館評議員)
維持会員になってください
町田 康
日本で生まれて日本で育って、どんなよいことがあるだろうかと考えて、まず最初に思い浮かぶのは、やはり経済的なことで、経済的に豊かな日本なので、他国に比べて、よい生活ができる、ということだが、それ以外にもよいことがあって、それは私の思うに日本で生まれて日本で育つと日本語を読むことができるということである。
なぜそれがよいかというと、日本語で書かれた文学作品によいものがたくさんあるからで、私たちはこれらを読むことによって千年の時間を生き、いまの自分たちを知ることができるが、日本語が読めなければそれができず、せいぜい1時間40分程度の時間しか生きることができない。
なので日本語が読めてよかったなあ、よかったわ。と、安堵するのは早計。なぜなら、千年前に書かれたものがいま読めるのはその現物がいまも存在するからで、それは偶然残ったものではなく、残そうとする人の意志があったからである。そこで。
千年を生きていまあるものを千年後に伝え、千年後の人が二千年を生きて、生きたなあ、よかったなあ。よかったわ。と思うために。
維持会員になってください。維持会員になってください。よろしくお願いします。って、結局、銭の話かいっ。違います。それが人の意志ってことってことよ。ということでよろしくお願いします。わっしもなってます。
(作家)
わがよきパートナーのために
与那原 恵
日本近代文学館の理念と歴史、そして所蔵資料の全容を知ったのは、雑誌『東京人』(2011年8月号)で取材する機会があったからだ。とりわけ雑誌資料(27000誌・55万冊)の充実ぶりに驚き、以来、維持会員になってたびたび利用させてもらっている。
国会図書館や専門図書館も所蔵してない雑誌資料が多数あり、そのうちの5500誌は、一誌あたりの冊数が2冊にも満たない短命の雑誌である。他館では収集の対象にも見なされていない雑誌だが、時代の空気、文学者たちの足跡をいきいきと伝える貴重な資料だ。
それらの雑誌は、すべて手に取ってページを開くことができる。国会図書館などではデジタル化が進んでいるが、それではどうしても実感というものがつかめず、この館はじつにありがたい存在である。
そうして一号ずつ追っていくことで、時代のうねりを肌で感じ、しだいに書くべきことが見えてくる。雑誌文化という山脈のなかに身をひたすと、探し求めていた鉱脈に出会える。私の仕事は、館の存在なくしては成立せず、まことに心強いパートナーなのだ。
厳しい状況のなか、職員の専門的知識と丁寧な応対にも心から感謝している。いつも私を支えてくれる館のために、つぎからは2口の寄付にし、すこしでも力になりたいと願っている。
(ノンフィクション作家)
維持会・文学館友の会(旧・館の会)入会のご案内
維持会・友の会は、日本近代文学館の事業に賛同くださる方(団体も含む)に加入いただき、 毎年会費のかたちで資金援助をお願いし、会員の皆様に利用の面で出来る限りの便宜をお計りする制度です。
当館は公的助成を受けることなく、自主財源で運営されており、会費によるご援助が大切な支えとなっております。
たくさんの皆様のご参加をお待ちしております。
*この会費は特定公益増進法人に対する寄附金として税の控除の対象となります。
維持会・文学館友の会(旧・館の会)に入会すると
―研究支援からイベントの参加まで―
・当館の閲覧室を会員料金でご利用いただけます(維持会員は無料です)。
・資料の複写・写真の利用が会員料金となります。
・当館の展示室を、無料でご覧いただけます。
・当館主催の講座・講演会に、会員料金でご参加いただけます。
・館報「日本近代文学館」(隔月刊行の機関紙)を刊行毎にお届けいたします。
・当館刊行の出版物を会員価格でご購入いただけます。
・当館の施設(研究室・講堂)を会員料金でご利用いただけます(維持会)。
・文学館バックヤードの見学やギャラリートークにご参加いただけます(維持会*)。
・展覧会の内覧会にご招待いたします(維持会*)。
*ホームページ等でご案内いたします
入会の申し込み方法は
・このページ下部の資料請求フォームから申し込み書を請求して頂くか、館利用の際に直接お申し込み頂けます。(その場で入会の手続きを行い、会員証をお渡しします。)
会費をご送金される場合
郵便振替で会費をご送金ください。入金の確認が出来次第、会員証をお送りいたします。
郵便振替:00140-0-47730 加入者名:公益財団法人 日本近代文学館
(通信欄に、「維持会費」あるいは「友の会会費」と明記の上、ご送金ください。)
・維持会会費は年間(4月から翌年3月まで)
個人 1口 10,000円
法人・団体 1口 60,000円
からとなります。
文学館友の会(旧・館の会)会費は年間 5,000円です。
ただし10月以降入会の方は、その年度の会費は 2,500円となります。
・年度途中にかかわらずいつでもご入会いただけます。
当館へのご寄付に対する税の控除について
維持会・友の会会費をはじめ当館へのご寄附は、「公益社団法人等寄附金特別控除」として次のような税の控除を受けられます。
〈個人〉
1年間に支払った特定寄附金のうち、公益法人に対する一定の要件を満たす寄附金
(維持会・友の会会費をはじめ当館へのご寄附はこれに該当します)は、支払った年分の所得
控除として寄附金控除の適用を受けるか、または次の算式で計算した金額について税額控除の
適用を受けるか、いずれか有利な方を選択できます。
(控除対象寄附金の合計額-2,000円)×40%(100円未満切捨て)=税額控除額
ただし、控除対象寄附金の合計額は、総所得金額等の40%相当額を限度とします。
また、税額控除の金額は、その年分の所得税額の25%相当額を限度とします。
〈法人〉
寄付金全額が損金として認められます(ただし、一般寄附金控除とは別枠で、
所得金額の6.25%と資本金等の額の0.375%の合計額の2分の1相当額を限度とします)
*会費をお払いくださいました方には、翌年の確定申告の前に、所定の書類と手続きのご案内をお送りいたします。
維持会・文学館友の会 資料請求フォーム
資料請求、お申し込みの流れ・注意事項
- 以下のフォームより必要な情報を入力して下さい。
- 送信をクリックするとお申込内容がご記入のe-mailアドレス宛に送信されます。
- 資料請求受付後、郵便振替用紙を郵送致します。(申請後4、5日経っても到着しない場合は必ずご連絡下さい。)