資料は語る2016―資料で読む「東京文学誌」Ⅱ


2016年度の講座「資料は語る」を4月より開講いたします(後期:9月開講)。
今回は2013年度に開催し、たいへんご好評をいただいた「資料で読む『東京文学誌』」の第二弾として、東京ゆかりの文学者や文学作品をとりあげます。
また、開催予定の秋季展覧会「絵はがきの中の漱石―小生は人に手紙を書く事と、人からもらふ事が大すき」にあわせ、10月15日には石﨑等先生に、当館所蔵の夏目漱石の「道草」肉筆原稿についてお話いただきます。
前期・後期各3回で、それぞれのテーマに造詣や関心の深い文学者・研究者の先生をお招きします。会場には各回の内容に関連する貴重資料を展示し、講師の先生方にはこれらの資料を用いながらお話をしていただきます。

会場:日本近代文学館ホール

 

左上から時計回りに、斎藤茂吉、樋口一葉、高見順、芥川龍之介、夏目漱石、林芙美子

 

前期

近代医学へのまなざし―斎藤茂吉と青山脳病院

日時:4月16日(土) 14:00~15:30
講師:小泉博明 文京学院大学教授
茂吉は欧州留学後に焼失した青山脳病院の再建に奔走し、養父紀一に代わり院長に就任する。龍之介との交流もまじえ、病者の逃亡、自殺、暴力に悩む茂吉と医学との関わりを語る。

劇場と撮影所―高見順『東京暮色』

日時:5月21日(土) 14:00~15:30
講師:武藤康史 評論家
われわれは高見順について何を知つてゐたのか? 『高見順全集』に未収録だつた大量の作品群が今われわれに見せつける――都会の一隅の鋭い光を、あられもない女の姿態を……。

生活を支えた本郷菊坂の質商―樋口一葉と伊勢屋質店

日時:6月11日(土) 14:00~15:30
講師:山崎一穎 跡見学園理事長・森鷗外記念館(津和野)館長
一葉の居住空間・本郷菊坂の上道、下道の特殊な地形から貧富の格差を読み解く。貧窮の末、質店・伊勢屋へ走る。一葉の生活空間と文学空間を肉筆資料(日記)を読みつつ捉える。

 

後期

東京にて。恋と労働の雌伏―林芙美子『放浪記』

日時:9月17日(土) 14:00~15:30
講師:江種満子 文教大学名誉教授
根無し草を宿命づけられた誕生により、林芙美子は独自の世界感覚を育むが、それを語ることで他者とつながろうとした。『放浪記』は、男たちの東京で作家たらんと闘った女の記録である。

にじむ加筆・訂正の跡―夏目漱石『道草』

日時:10月15日(土) 14:00~15:30
講師:石﨑等 立教大学名誉教授
自伝小説では、主人公の過去の記憶をどう再現するかに力が注がれる。『道草』における推敲の跡をたどり、テクスト生成について若干の考察を試みる。

夢と現実―芥川龍之介の軽井沢体験と短篇『浅草公園』の意味

日時:11月19日(土) 14:00~15:30
講師:池内輝雄 近代文学研究者
夏の軽井沢で見出した風景。親しい友人らと村はずれにユートピアをつくる夢。死の数か月前、流行の映画的手法を用いてとらえた都会の盛り場・浅草の光景。二つの景観の意味を考える。

受講料・申込方法

受講料

全期間(6回)10,300円(会員9,300円)
前期または後期5,200円(会員4,700円)
1回のみ2,100円(会員1,900円)
※チケット送料は当館が負担いたします。

申込方法 

 (現金書留)
便箋・メモ用紙等に住所・氏名・電話番号および受講期間(1回の場合は希望月も)を明記の上、受講料とともに、
〒153-0041 目黒区駒場4-3-55 日本近代文学館「資料は語る」係へお送り下さい。

(郵便振替)
通信欄に講座名「資料は語る」と受講期間(1回の場合は希望月も)を明記の上、下記の口座へ受講料をお振込み下さい。
口座番号:00140-0-47730 口座名:公益財団法人 日本近代文学館

※定員に達しない場合、当日券を販売いたします。