資料は語る2015―「文学と挿画のコラボレーション」
2015年度の講座「資料は語る」を4月より開講いたします(後期:9月開講)。
本年度は「文学と挿画のコラボレーション」をテーマに、文学者が生み出す作品世界とそれに対峙する挿絵画家たちの試行錯誤を見つめます。
今年ともに没後50年を迎える谷崎潤一郎と江戸川乱歩も取り上げる予定です。
前期・後期各3回で、それぞれ本テーマに造形や関心の深い研究者の先生をお招きします。
会場には各回の内容に関連する資料を展示し、講師の先生方にはこれらの資料を用いながらお話をしていただきます。
会場:日本近代文学館ホール
前期
明治下町の情感 樋口一葉『にごりえ』と鏑木清方
日時:4月18日(土) 14:00~15:30
講師:関礼子(中央大学教授)
清方自ら散らし書きした小説文と挿画からなる『にごりえ』画譜は、一葉小説の世界を独特の方法で再現している。近代文学と深く関わった彼の集大成ともいえるこの作品から見えてくるものを探りたい。
漱石『明暗』と名取春仙の挿絵
日時:5月16日(土) 14:00~15:30
講師:十川信介(学習院大学名誉教授)
『明暗』は大きな事件もなく、夫婦生活の心理的葛藤が中心なので、春仙は作画に苦労したようだ。彼の新しい描き方を通じて、文章と絵画の交錯の様子を探って行きたい。
大正ロマンの傑作 菊池寛『真珠夫人』と鰭崎英朋
日時:6月27日(土) 14:00~15:30
講師:日高昭二(神奈川大学教授)
菊池寛の『真珠夫人』(大正9年)の挿絵は鰭崎英朋。鏑木清方とも併称される日本画家である。彼の挿絵を見ながら、小説の言葉と挿絵がどういう関係をつくり出しているかをたどってみたい。
後期
関西モダニズムの世界 谷崎潤一郎『蓼喰ふ虫』と小出楢重
日時:9月19日(土) 14:00~15:30
講師:千葉俊二(早稲田大学教授)
『蓼喰ふ虫』について谷崎自身、「作家としての生涯の一つの曲り角に立っている」作品といい、小出楢重の挿絵に励まされて書き続けたともいっている。小説の内実と挿絵のかかわりについて具体的に考察してみたい。
村山知義と新聞紙
日時:10月17日(土) 14:00~15:30
講師:五十殿利治(筑波大学教授)
新聞紙とは、村山作品の素材であり作品を貼る台紙であり、また作品そのものであり(新聞小説挿絵)、さらには美術運動を宣伝するための媒体であった。村山はそのすべてに自覚的であった。
探偵小説の大仕掛け 江戸川乱歩『黄金仮面』と吉邨二郎
日時:11月21日(土) 14:00~15:30
講師:浜田雄介(成蹊大学教授)
江戸川乱歩の大衆雑誌「キング」初登場となった『黄金仮面』は、吉邨二郎の挿絵のイメージが印象的な作である。作家、挿絵、メディアなどの文脈から、事件としての作品に迫りたい。
受講料・申込方法
受講料
全期間(6回)10,300円(会員9,300円)
前期または後期5,200円(会員4,700円)
1回のみ2,100円(会員1,900円)
※チケット送料は当館が負担いたします。
申込方法
(現金書留)
便箋・メモ用紙等に住所・氏名・電話番号および受講期間(1回の場合は希望月も)を明記の上、受講料とともに、
〒153-0041 目黒区駒場4-3-55 日本近代文学館「資料は語る」係へお送り下さい。
(郵便振替)
通信欄に講座名「資料は語る」と受講期間(1回の場合は希望月も)を明記の上、下記の口座へ受講料をお振込み下さい。
口座番号:00140-0-47730 口座名:公益財団法人 日本近代文学館